【子どものときから矯正した方がいいの?】

子どもの歯科矯正治療は、歯の状況によって二つの時期に分かれます。
こどもの矯正

乳歯と永久歯が交じっている12歳頃までが「第1期治療」。顎の成長を利用した治療が中心です。一部の永久歯にブラケットをつけることもあります。
全ての歯が永久歯に生えかわると「第2期治療」に。ブラケットなどで歯を移動させ、最終的なかみ合わせを完成させます。
第1期から治療を始めると顎の成長を利用できる反面、時間がかかります。しかし、かみ合わせや歯並びの悪さは顎の骨格に問題があることが少なくないため、特に受け口や出っ歯の場合は、成長発育を利用した治療が有効です。気になることがあれば7~8歳頃に一度矯正歯科で診てもらいましょう。

【矯正で「受け口」は治る?】

受け口は「下顎前突(かがくぜんとつ)」や「反対咬合」といって、下の歯が上の歯より前に出ているかみ合わせのことです。

下顎突出の写真

受け口の原因は親からの遺伝によるものと、後天的な要因-食べ物を下あごを前に出してかむ癖や、前歯の一部の噛みあわせが逆になっているなどがあります。
子どもの場合は、骨格的な原因の場合は上あごを成長に合わせて骨が前方へ大きく成長するように力を加えたり、一部の前歯(反対になっている歯)にブラケット(矯正の装置)をつけたり、夜間を中心に使用する取り外しのできるマウスピースを使用して治療します。成人の場合や下あごが大きく突き出している際には、下あごの一部を切断し、後ろに下げる外科手術との組み合わせが成長の終了後に必要になる場合もあります。

【なぜ矯正治療で歯が動くの?】

歯を動かすためには、歯の表面にブラケットを張りつけその溝にワイヤを通し、いずれかの歯(大体奥歯)を固定源として、動かしたい歯に力を加えて移動させます。
なぜ、力を加えると歯は動くのでしょうか?

具体的には、歯肉の中には「歯槽骨(しそうこつ)」という骨があり歯を支えています。この骨と歯根の間には「歯根膜(しこんまく)」という組織があり歯にかかる衝撃を和らげるクッションの役割を担っているのです。
矯正により歯に力が加わった側の歯根膜が圧迫を受け収縮し、「破骨(はこつ)細胞」によって食べられます。一方引っぱられた側の歯根膜には「骨芽(こつが)細胞」が作られ、新しい骨が作られます。

歯の移動する仕組みの図解

これは単に、歯根が歯肉の「歯槽骨(しそうこつ)」の中を移動しているのはなく、歯の周りの骨が吸収されつくられるという「代謝」を繰り返すことで移動していくのです。

歯が動くスピードは大体一ヶ月に0.8ミリ程度といわれています。歯に強い力をかけても代謝のスピードが上げるわけではないので、理想的な歯の移動には2~3年の期間が必要なのです。

【矯正装置の種類-ブラケット】

一般的な矯正装置である「ブラケット」は、一本一本の歯の表面に歯科用接着剤で直接張りつけるものです。
そこにワイヤや結さつ線、口腔内ゴムを組み合わせます。

目立ちやすいが丈夫で低価格な「メタルブラケット」、目立ちにくい「プラスチック/セラミックブラケット」、治療期間が比較的短い「デーモンブラケット」などさまざまな種類があります。

最近では矯正装置をつけていることを楽しみたいという人向けに、カラフルなものや星やハートといった形のブラッケットも登場しています。

カラーブラケット