歯周病の予防
歯周病の予防
歯周病は感染症という側面と、生活習慣病という側面を併せ持つ病気といえます。
したがいまして、歯周病を予防するには、この両面からアプローチして対処する必要があります。
感染症の面にはプラークコントロール(バイオフィルムの機械的除去)を行ない、生活習慣病の面へは生活習慣の見直しを行なっていきます。
プラークコントロール
- ご自宅での歯みがき・デンタルフロスや歯間ブラシでのケア・マウスウォッシュなど洗口剤の使用など
- ご自宅では行なえない、歯科医院での定期的なメインテナンス
プラークや歯石がたまってしまうと、一度良くなってもまた歯周病になってしまう恐れがあります。
歯周病は早期発見、早期治療が大切です。できるだけ軽度のうちに処置を進めることを推奨します。
毎日の歯みがき・デンタルフロスなどの使用はもちろん、定期的に歯科医院で状態確認を行ないましょう。
生活習慣の見直し
- 喫煙をやめる
- ストレスをためない暮らし
- 規則正しい生活習慣
- 睡眠を充分にとる
- 食事に時間をかけ、よく噛む
- 食生活の改善
歯周病は口の中だけに影響のある病気ではなく、全身の病気とも密接に関係していることがわかってきました。
歯周病が進行すると、深くなった歯周ポケットから歯周病菌が歯周組織の毛細血管内に侵入して全身へ運ばれます。
そしてさまざまな臓器に侵入し、 そこで病気を引き起こしたり悪化させたりすることがあるのです。
また、歯肉が炎症することによって作られる「ケミカルメディエーター」という炎症性物資が、身体全体に影響を及ぼします。
歯周病によって心内膜炎、動脈硬化、肺炎などを引き起こしたり、糖尿病を悪化させたり、早産、低体重児出産の確率を高めたりする恐れがあります。
つまり歯周病を予防することは、歯と歯肉の健康のためだけではなく、全身の健康のためになるのです。
喫煙と歯周病

喫煙者は、非喫煙者と比較するとおよそ3倍も歯周病にかかりやすく、2倍も近く歯を失っているという報告があります。
また、喫煙本数と比例して歯周病が重症化することも科学的に証明されています。
では、どうして喫煙が歯周病を悪化させてしまうのでしょうか?
それはタバコの煙の中にはタール、一酸化炭素、ニコチンをはじめ多くの有害物質が含まれているからです。
さらにタールはヤニとして歯に付着し、その上にプラークが付着しやすくなります。
そのうえ一酸化炭素やニコチンは、病原菌に対する抵抗力を低下させて歯ぐきの腫れを隠したり、傷口を治りにくくしてしまうのです。
喫煙がもたらす歯周病への影響
- 歯周病菌に抵抗する白血球の機能を低下させる
- 歯肉へ必要な酸素や栄養を供給する毛細血管を収縮させる
- 歯肉を修復するために必要となる、線維芽細胞の働きを抑制させる
- 歯と歯肉の境目にある溝の中の酸素が不足し、酸素が苦手な歯周病菌が繁殖しやすい環境になる
- 唾液の分泌が少なくなることで、虫歯や歯周病の原因菌が増殖しやすくなる
- 身体の抵抗力が弱まって、傷ついた歯周組織を修復する能力が低下してしまう
歯肉からの出血は、歯周病を発見するサインのひとつです。
ところが喫煙習慣があると歯肉の血流が悪くなるため、歯肉が炎症を起こしても出血しにくくなり、
歯肉も色素が沈着し黒ずんでしまうため炎症反応を分かりにくくなってしまいます。結果として歯周病の自覚を遅らせ、
知らない間に症状が悪化してしまうため、最悪のケースだと歯を失う恐れまで考えられるのです。
さらに喫煙は歯周病に影響を与えるだけでなく、抜歯後の傷口や歯ぐきの処置後の回復を遅らせたり、
インプラントの脱落を招くなど、
あらゆる歯科の処置に悪い影響を及ぼす恐れがあるのです。
ぜひ歯科医師や歯科衛生士、または禁煙外来などに相談することをお勧めします。